1970年、NETテレビ(現在のテレビ朝日)で放送が始まった『遠山の金さん捕物帳』。これこそが、彼の評価を不動のものとし、日本中を熱狂させた伝説の時代劇である。
それまでの時代劇といえば、重厚でどこか堅苦しい歴史劇が主流だった。そこに風穴を開けたのが、彼の演じる「金さん」だ。普段は遊び人の金さんとして町に溶け込み、お白州では一転して威風堂々たる町奉行・遠山左衛門尉景元へ。「これにて一件落着!」の決め台詞とともに桜吹雪を見せるクライマックスは、日本中のお茶の間を歓喜の渦に巻き込んだ。
実は、この粋な殺陣や立ち振る舞いには、彼が歌舞伎で培った身体性が遺憾なく発揮されていた。型がしっかりしているからこそ、崩したときのリズムが抜群に心地よい。難解と思われがちだった時代劇を、誰もが楽しめる極上のエンターテインメントへと変貌させた瞬間だった。