主人公・竈門炭治郎の魅力は、彼が「決して無敵のヒーローではない」という点にある。彼はよく泣き、よく傷つき、自分の無力さに絶望する。そんな彼が吐露する「失っても失っても生きていくしかない」という言葉には、安易なポジティブシンキングを拒絶する重みがある。
理不尽な災害や予期せぬ不幸は、ある日突然、私たちの日常を奪い去る。炭治郎の言葉が人々の心を打つのは、悲しみを無理に克服しようとするのではなく、その痛みを抱えたまま一歩を踏み出そうとするからだ。弱さを認め、泥をすすりながらも前に進む姿こそが、本当の強さなのだと教えてくれる。