落合恵子という名前が日本の多くの人々に強く刻まれた原点は、1960年代後半から1970年代にかけての文化放送時代にある。人気深夜番組『セイ!ヤング』でパーソナリティを務めた彼女は、親しみやすくも凛とした語り口で若者たちの圧倒的な支持を獲得した。「レモンちゃん」の愛称で親しまれたその声は、深夜のラジオから全国のリスナーの心へと届き、当時のユースカルチャーを牽引する存在となった。
しかし、局アナとしての成功に甘んじることなく、彼女は自らの言葉で生きる道を選択する。退社後に発表した小説『スプーン一杯の幸せ』は大ヒットを記録し、映画化されるなど社会現象を巻き起こした。以降、彼女は単なるタレントにとどまらず、出版業界において確固たる地位を築くエッセイスト・作家として、人間の内面や社会的弱者へ寄せる温かな眼差しを文章に紡ぎ出していくことになる。