順風満帆に見えた芸能生活のなか、彼女は大きな転機を迎える。表現の可能性を広げるべく単身でニューヨークへ渡米した際、街角のカフェで偶然目にしたチョークアートに心を奪われたのだ。指先とチョークを使ってダイナミックかつ繊細な世界を紡ぎ出す技法に、これまでにない直感的な情熱を覚えた。
帰国後、本格的にアートの修行を重ねた彼女は、アーティスト名「Moeco」として活動を開始する。チョークの粉を指で重ねて描く独自の手法は、従来のチョークアートの概念を軽やかに覆し、重厚感とエロティシズム、そして洗練されたポップカルチャーが同居する独自の現代アートへと昇華された。タレントの片手間ではない、一人の美術家としての覚悟がそこにはあった。