関係者への独自取材によって見えてきたのは、名門校特有の極めて閉鎖的な部内環境だ。長年にわたりチームを指揮してきた中井哲之監督のもと、広陵高等学校は「人間的成長」や「絆」をスローガンに掲げてきた。だが、その強固な結束力の裏側には、外からの目が届かない密室空間が形成されていた。
内部告発を行った元部員の一人は、「上級生の命令は絶対であり、暴力も『指導』や『伝統』という言葉で正当化されていた。指導陣に助けを求めても、公式戦のメンバー選考に影響することを恐れて口を閉ざすしかなかった」と語る。全国から有望な選手が集まる強豪校だからこそ、脱落への恐怖とレギュラー争いの重圧が、理不尽を飲み込ませる土壌を生んでいた実態が浮き彫りになっている。