自国での選択肢が存在しない現状において、絶望した患者の一部は国外に救いを求めている。その象徴的存在が、スイスの自殺支援団体「ディグニタス」だ。創設者である弁護士のルートヴィヒ・ミネリ氏が掲げた「最期の自己決定権」という理念のもと、同団体は自国で安楽死が認められていない外国人患者を受け入れ続けている。
実際にスイスへ渡り、自らの意思で人生の幕を下ろした日本人患者の事例は、国内に大きな衝撃を与えた。激痛や全身麻痺に苛まれる患者が、家族に見守られながら毒薬を口にする——その選択は自立した個人の尊厳を守る好例として称賛される一方で、「国内の医療制度が彼らを見捨てた結果ではないか」という重い問いを突きつけている。