渡辺氏のランニングスピリットの原点には、師であり日本陸上界のレジェンドである瀬古利彦氏の存在がある。早稲田のエンジのユニフォームを身にまとい、世界を相手に戦った師の教えは、彼の根底に深く根づいている。だが、彼は偉大な師の教えをそのままなぞるのではなく、時代に即した形へとアップデートさせてきた。
日本陸上競技連盟の強化策や将来像についても、現場を知る者として鋭い提言を投げかける。駅伝の過熱する人気がトラック競技や世界挑戦の妨げになってはならないという問題意識。日本独自の駅伝文化を生かしつつ、どのように世界のスピードに勝利するか。伝統を尊重しながらも劇的な変化を恐れない姿勢は、日本長距離界の進むべき道標を示している。