一般的な濃口醤油やめんつゆを用いて数の子を味付けすると、調味料の色素が魚卵に移り、せっかくの透明感ある黄金色が茶褐色に濁ってしまいます。一方、白醤油や薄口醤油をベースに鰹節・昆布などの濃厚な出汁を凝縮した白だしは、素材の色彩を一切損なわずに力強い旨味成分(イノシン酸とグルタミン酸の相乗効果)を付与できます。
「白だしだけで味が決まるのか」という疑問を持つ方も少なくありませんが、大手食品メーカーのヤマキの割烹白だしをはじめとする市販の上質白だしは、すでにプロの料理人が引く合わせ出汁と同等以上の旨味バランスで設計されています。余分な調味料を何種類も計量して合わせる必要がなく、分量のブレによる味付けの失敗を根本から防ぐことが可能です。
さらに、白だしに含まれる塩分と糖分のバランスは魚卵の細胞膜に適度な浸透圧をもたらし、水分が抜けすぎてパサつく現象を防ぎます。結果として、噛んだ瞬間に心地よい破裂音を奏でる「パリッとした弾力」を保ったまま、奥深くまで出汁の風味が染み渡るのです。