この曲の背景には、日本の音楽史に残る重い事実がある。
2001年に発生した附属池田小事件。その犠牲となった少女が宇多田ヒカルのファンであったことを知った彼女は、制作中だったアルバム曲「DISTANCE」を急遽、厳かなバラードへと再構築した。それが「FINAL DISTANCE」だ。
当時、彼女はまだ18歳。その若さで他者の死と向き合い、自らの音楽で祈りを捧げた。その事実を知る世代はもちろん、事件を知らないデジタルネイティブ世代にとっても、この曲に込められた尋常ならざる熱量は、音の隙間から痛いほど伝わってくる。