現代の陸上界を語る上で、ギアの進化は無視できない。トラックの舗装材はより反発力を生む素材へと変わり、スパイクのソールは選手の走法に合わせて3Dプリンターでカスタマイズされる時代だ。これにより、走る際に行われるエネルギーのロスは極限まで減らされている。
しかし、どれだけ道具が進化しようとも、最後にピストル音に反応するのは人間の脳であり、筋肉だ。反応速度の限界値とされる0.1秒の壁を突破し、そこからいかに早くトップスピードへ移行するか。テクノロジーはあくまで補助線であり、最後の0.01秒を削り取るのは、やはり選手の肉体と精神の研ぎ澄まされ方に他ならない。