事件の状況は極めて異例だった。現場となったビルでは、直前に「不審者が侵入した」との通報があり、警察官が駆けつけていたという。長男は警察官の姿を見て逃走を図り、ビルの配管などを伝って逃げようとした末に足を踏み外し、転落したと報じられた。
薬物使用の疑いや、精神的な不安定さを指摘する声も上がったが、決定的な証拠は公表されていない。ただ一つ確かなのは、彼が何かに怯え、追い詰められた末に、その命を落としてしまったという冷酷な事実だけだ。母親である秋吉のもとには、変わり果てた息子の姿と、無数の「なぜ」だけが残された。