一方、宮沢りえが日本芸能界で築き上げてきた金字塔もまた圧倒的だ。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で見せた、余命宣告を受けながらも家族を包み込む母親の姿は、多くの観客の涙を誘い、国内外で極めて高い評価を獲得した。人間の業や愛情の深さを体現する彼女の芝居は、唯一無二のヒューマンドラマを生み出す力を持っている。
表現の深淵を知る者同士だからこそ、家庭に戻った際に言葉を交わさずとも理解し合える領域がある。互いの役柄へのアプローチや演技論を押し付け合うことは決してない。だが、その存在そのものが互いにとって最も厳しい批評家であり、最も温かい理解者として機能している。