「日本人は単一民族である」という言説は、もはや科学的にも歴史学的にも成り立たない。渡来ルートは決して一本道ではなかった。朝鮮半島を経由した北ルートだけでなく、中国南部の沿岸地域から直接九州や沖縄へと黒潮に乗ってやってきた南ルートなど、複数の経路が存在したことが考古学的な遺物の分布からも裏付けられている。
渡来の波も、一度限りの大移動ではなかった。数百年にわたり、小規模な集団が断続的に、あるいは特定の政治的動乱期にまとまって渡ってきた。彼らはそれぞれ異なる言語や技術、信仰を持っており、日本列島という巨大なメルティングポット(るつぼ)の中で徐々に融合していったのだ。