役者としての松本潤を語る上で、NHK大河ドラマ『どうする家康』での過酷な1年半は決定的な転換点となった。乱世を生き抜き、天下泰平の世を築いた徳川家康という複雑怪奇な生涯を演じ切った経験は、現在もNHKオンデマンドなどで高く再評価されているが、その重厚な経験値は即座に次なる表現へと注ぎ込まれた。
そのひとつの到達点が、野田秀樹が率いるNODA・MAPの舞台『正三角関係』への出演だ。長澤まさみ、永山瑛太といった屈指の実力派と火花を散らし、日本国内のみならずロンドン公演でも現地の観客を熱狂させた。身体ひとつで舞台空間を支配し、言葉の奥にある人間の生々しい感情を抉り出すその姿は、大河ドラマを経てさらに凄みを増した表現者としての底力をまざまざと見せつけるものだった。