今回の個展で最も注目を集めているのが、巨大な展示空間を丸ごと使った没入型インスタレーションだ。暗闇の中に浮かび上がる無数の光の糸。それらは鑑賞者の体温や呼吸、さらにはその場の微細な空気の振動に反応して、生き物のように形を変えていく。
訪れた人々は、静かにその場に立ち尽くす。スマートフォンの画面越しではなく、自分の五感すべてを使って空間を感じ取ろうとする姿が印象的だ。情報過多な現代において、あえて「沈黙」と「余白」を提示する彼女の手法は、現代人が忘れかけていた感覚を呼び覚ますトリガーとなっている。