カフェのメニューで見かける「レモンスカッシュ」と「レモネード」。どちらも柑橘を使った定番ドリンクですが、その定義と成り立ちには明確な違いが存在します。
最大の違いは「炭酸の有無」と「語源の背景」にあります。レモネード(Lemonade)は、レモン果汁に砂糖やハチミツなどの甘みを加え、水や湯で割ったものが国際的な標準です。一方のレモンスカッシュ(Lemon Squash)は、搾りたてのレモン果汁に甘味料を合わせ、「炭酸水(ソーダ)」で割って提供されるスタイルを指します。英語圏における「Squash」は本来、果実を押し潰して搾る果汁飲料を意味しますが、日本国内では「柑橘果汁+シロップ+炭酸水」の組み合わせがそのまま定着しました。
日本におけるレモンスカッシュの歴史は、明治から大正期にかけて西洋のバーやホテル喫茶で提供され始めたことに端を発します。当時、炭酸水はハイカラな高級品であり、レモンをその場で搾ってソーダを満たすスタイルは、都市部の知識人やモダニストたちのステータスシンボルでした。戦後の喫茶店ブームとともに全国津々浦々の純喫茶へ広がり、独自の進化を遂げていったのです。