ネット上の掲示板やSNSでは「騙されるのは情報リテラシーが低い人だけ」「高齢者だけの特殊な問題」といった冷ややかな言説が散見されます。しかし、詐欺被害の現場取材や心理学者による実態調査が示す現実は、これらネットの言説とは大きく異なります。
詐欺グループは人間の認知特性や意思決定の脆弱性を徹底的に研究し、以下の3大心理トラップを巧みに組み込んで罠を仕掛けています。
- 正常性バイアスと確証バイアス:「自分だけは損をしない」「有名な先生が推薦しているから大丈夫」と都合の良い情報ばかりを集め、周囲の客観的な忠告を「邪魔者」として排除してしまう心理状態。
- サンクコスト(埋没費用)の呪縛:「すでに入金した500万円を取り戻すためには、追加の手数料100万円を支払うしかない」と告げられ、引き返せなくなる心理的追い込み。
- 第三者からの孤立化工作:「この投資情報はインサイダー情報だから家族や銀行員に話すと無効になる」「銀行で使途を聞かれたら『リフォーム代』と答えてください」と指示し、外部からの助言を完全に遮断する手口。
被害者の手記や警察の聴取記録によると、被害に遭った多くの当事者が「相手は私の悩みを親身に聞いてくれ、家族以上に信頼できるパートナーだと思い込んでいた」「偽サイトの画面上で毎日資産が増えていくのを見て、完全に理性を失ってしまった」と述懐しています。詐欺は単なる知性の問題ではなく、緻密に計算された「感情と認知のハッキング」であることが分かります。