2026年代に入り、ロシア科学アカデミーや米NASA、サンディア国立研究所などの国際共同チームによるスーパーコンピュータを用いた3次元流体力学シミュレーションは、ツングースカ事件に新たな解釈をもたらしました。
最新の研究モデルの一つとして注目されているのが、「鉄質小惑星の大気かすめ飛び(グレージング)仮説」です。このモデルでは、直径100〜200メートルほどの鉄質小惑星が、秒速約20キロメートルという超高速かつ浅い角度(大気圏に対して約10〜15度)で突入。地表近くまで下降することなく、上空10〜15キロメートルの大気圏上層を猛烈な速度でかすめ抜けて再び宇宙空間へと飛び去ったと計算されています。
このシナリオであれば、天体そのものは地表に落下せず、強大な衝撃波とプラズマガスのみが地表へ叩きつけられるため、「破片がほとんど見つからず、巨大なクレーターが存在しない」という長年の謎が完全に整合します。一方で、50〜80メートル級の石質小惑星が粉々に破砕・気化して上空でエネルギーを解放し尽くしたとする「完全破砕モデル」も依然として有力であり、いずれにせよ「大気圏内での超音速流体破壊」が事件の物理的実体であったことが確定しています。