西郷輝彦さんの音楽的キャリアにおいて、最大の金字塔として輝くのが1966年にリリースされた『星のフラメンコ』です。「好きなんだけど 離れてるのさ」という印象的な歌い出しと、カスタネットの情熱的なリズムを取り入れた本楽曲は、作詞・作曲を手掛けた稀代のヒットメーカー・浜口庫之助さんとの邂逅によって生まれました。
当時の歌謡界は哀愁を帯びたマイナー調の演歌・歌謡曲が主流でしたが、『星のフラメンコ』はスパニッシュのリズムとモダンなポップス感覚を融合させた画期的なアレンジでした。間奏で見せる切れ味鋭いステップと情熱的なフラメンコポーズは、お茶の間のテレビ画面を通じて全国に衝撃を与えました。
その後も『十七才のこの胸に』『星娘』『初恋の手紙』など、天性のリズム感を生かしたヒット作を連発。昭和歌謡史における西郷さんの功績は、単なる人気歌手にとどまらず、歌謡曲にラテンやロックの躍動感を持ち込み、後のJ-POPへと続く音楽的多様性の扉を開いた点にあります。