過蓋咬合(ディープバイト)とは、上の前歯が下の前歯に深く被さりすぎている噛み合わせの状態を指します。この状態にある人は、無意識のうちに奥歯を強く噛みしめる傾向が強く、咀嚼筋の一つである「咬筋(こうきん)」が異常に発達しやすい環境にあります。
臨床現場の知見によると、過蓋咬合の矯正によるエラ張りの変化は、骨そのものを削るのではなく、過剰な筋緊張が解かれることによって生じます。噛み合わせの高径(上下の噛み合わせの高さ)を正常な位置へ持ち上げ、前歯と奥歯の負担バランスを均等に整えることで、肥大化していた咬筋が自然とボリュームダウンします。その結果、「フェイスラインがシャープになった」「ベース型の輪郭が卵型に近づいた」という視覚的変化がもたらされます。
また、過蓋咬合特有の深い噛み合わせは、下顎を後方かつ上方へ押し込める力を生み出しています。矯正治療によって歯の沈下(圧下)や挺出をコントロールすると、下顎が本来あるべき位置へと解放され、過蓋咬合の噛み合わせ改善がフェイスライン全体に好循環をもたらすのです。