連載当時から完結後に至るまで、ネットコミュニティ上では緑谷出久を取り巻く様々な推測や憶測が飛び交いました。その中でも読者の関心が高かった3大トピックについて、公式描写に基づきファクトチェックを行います。
1. 最終決戦時の「死亡説」が拡散した背景
クライマックス直前、SNSやネット掲示板では「緑谷出久死亡エンド」を危惧する声が一時的に急増しました。これは、単独行動を取っていた「黒デク編」で見せたボロボロの肉体美とメンタルの摩耗、そして「OFAを受け継いだ者は短命に終わる」という四代目の死因設定が伏線として意識されたためです。さらに、死柄木へOFAを譲渡するリスクが明かされた際、全身の粉砕描写が相次いだことで「相討ちで命を落とすのではないか」という悲観的観測が先行しました。しかし結果として、出久は命を落とすことなく生存し、社会へ還元される形で物語を生還しています。
2. 実父・緑谷久(ひさし)はなぜ本編に登場しなかったのか
第一話で「口から火を吹く個性」「海外に単身赴任中」と語られて以降、最終話に至っても姿を現さなかった父親・緑谷久。読者の間では「ラスボスやAFO本人説」「隠された黒幕説」など数多の怪説が囁かれました。
結論から言えば、父親が最後まで直接登場しなかった理由は、緑谷出久の精神的父親が終始「オールマイト」という巨星に設定されていたからに他なりません。生活面と無償の愛を注ぐ母親・引子と、ヒーローとしての精神的支柱であるオールマイトの2軸が緻密に描かれていたため、不在の父親を無理に本編へ割り込ませるナラティブ上の必要性が希薄だったと言えます。公式のファンブックやインタビューの言及を踏まえても、出久のバックボーンは「平凡な一般人家庭」であることが重要であり、超常的な陰謀説は完全にファンのミスリードでした。
3. 麗日お茶子(ウラビティ)との恋愛関係の結末
ヒロインである麗日お茶子との関係も、最終回で注視された重要ポイントの一つです。お茶子は作中随所で出久への好意を抱きつつも、トガヒミコとの対峙を通じて「人の心に寄り添うヒーロー」としての自立を選び取りました。
最終回8年後の描写では、ふたりが電撃的に結婚しているような直接描写は存在しません。しかし、A組の同窓として、そして社会構造を変革しようとする同志としての深い絆が途切れることはありませんでした。安易な恋愛至上主義的ハッピーエンドに逃げず、互いが一人の職業人として自立した上でリスペクトを交わし合う関係性に着地した点は、現代的な人間関係のリアリズムとして高く評価されています。