ミスタードーナツの歴史を手繰り寄せると、清掃ビジネス大手のダスキン創業者である鈴木清一氏の直感と信念に行き着きます。1970年、アメリカ視察へ赴いた鈴木氏は現地で出会った手作りドーナツと温かなコーヒーのおもてなしに深い感銘を受け、創業間もない米ミスタードーナツ社との提携を決意しました。「祈りの経営」を掲げたダスキン創業の地である北摂地域にほど近い大阪府箕面市が、栄えある日本第1号店の舞台に選ばれたのです。
当時、日本において「外食」や「ファストフード」という言葉はまだ一般的ではありませんでした。海外の食文化をそのまま持ち込むのではなく、日本人の繊細な舌に合わせた改良を重ね、1971年4月2日、ダイエー箕面店の敷地内にパイロットショップとして箕面ショップがオープンしました。木製のカウンター越しに手作りドーナツが次々と並ぶ光景は、当時の日本の郊外住宅街に未曾有の欧米カルチャーの風を吹き込み、オープン当日は長蛇の列が途切れることがなかったと社史に記されています。
「おいしいドーナツを通じて地域の人々の団らんをつくる」という創業理念は、まさにこの箕面の地から全国の店舗網へと広がっていきました。箕面ショップの歴史を学ぶことは、日本の外食産業におけるフランチャイズカルチャーの黎明期を振り返る試みそのものといえます。