社会学や文化論におけるサブカルチャーの定義は、社会の正統的・伝統的な主流文化(メインカルチャー)に対し、その社会に属する特定の集団やコミュニティが共有する独自の副次文化を指します。『デジタル大辞泉』などの辞書的定義においても、「社会の正統的、伝統的な文化に対する、特定集団の独特の文化」と明記されています。
テレビのプライム帯で流れるヒット曲、全国規模で上映されるブロックバスター映画、大衆消費を前提としたマスファッションが「メインカルチャー」であるとすれば、サブカルチャーはそこからこぼれ落ちるニッチな表現や、少数派の熱烈な支持によって育まれる領域です。単館系映画、自主制作のzine、インディーズ音楽などがその代表格と言えます。
歴史的な文脈を紐解くと、1960年代から1970年代前半にかけては、社会体制や既存の権力構造に公然と異を唱えるカウンターカルチャーの歴史(対抗文化/反体制運動)が若者文化の主軸でした。しかし、1970年代後半以降、激しい政治性が薄れるとともに、文化は消費社会の中で細分化され、反体制というよりは「自分らしいライフスタイルの選択肢」としてのサブカルチャーへと形を変えていきました。
さらに、1960年代の寺山修司や唐十郎らに代表される前衛演劇や劇画『ガロ』に象徴されるアングラ文化(アンダーグラウンド文化)の土壌も、日本のサブカルチャー形成に決定的な影響を与えています。商業主義に抗い、人間の暗部やタブー、実験的な芸術表現を追究したアングラ精神は、のちの日本のサブカルチャーに特有の「薄暗くも魅力的な深み」を植え付けることになりました。