事件の現場となったのは、京都市右京区嵯峨野に位置するJR山陰線の「野々宮踏切」付近です。ここは世界遺産・天龍寺や野宮神社、嵯峨野の竹林の小径に隣接する日本屈指の観光地であり、国内外から日々膨大な観光客が訪れるスポットとして知られています。
なぜ、単なる「観光客の記念撮影の悪ふざけ」で済まされず、警察による書類送検という厳格な刑事手続きが取られたのでしょうか。最大の理由は、適用された法令である「鉄道営業法第37条」の規定と、現場の物理的な構造にありました。
鉄道営業法第37条には、「鉄道地内にみだりに立ち入ることを禁ずる」旨が明記されています。踏切道は一般の歩行者や車両が通行を許された例外的な空間ですが、踏切の遮断機や警告線の内側からレールが延びる「線路敷地」は厳格な立ち入り禁止区域です。2人は踏切の通路部分から大きく外れ、敷石(バラスト)が敷かれた明らかな運行線路上へ数メートル侵入していました。
現場周辺は当時から、外国人観光客や若者による線路内への立ち入りや無断撮影が問題視されていたホットスポットでした。JR西日本や地元警察が「線路内立ち入り禁止」の警告看板を各所に設置し、パトロールを強化していた矢先の出来事だったのです。影響力を持つ著名人が線路立ち入りを公然とネットで発信した行為は、模倣犯を誘発しかねない極めて危険な行為とみなされ、法執行機関としても見逃すことができない事案となりました。