プロボクシングの世界において、全勝の看板を失うことは時に選手を大きく変貌させる。国際ボクシング連盟(IBF)世界ミニマム級タイトルマッチで喫したペドロ・タドゥランとの死闘。猛烈な手数とタフネスを誇るタドゥランの突進に屈したあの夜は、重岡銀次朗にとってキャリア最大の試練となった。
しかし、本人は決して下を向いていない。無敵と謳われたアマチュア時代から培ってきたプライドを一度リセットし、自らのボクシングを根底から解体・再構築する契機となった。「あの負けがあったからこそ強くなれたと、ベルトを獲り返した時に笑って言いたい」。その言葉通り、ガードの隙間を埋めるポジショニングやペース配分、近距離でのクリンチワークに至るまで、徹底的な技術のブラッシュアップが続けられている。