世界中の惑星科学者が固唾をのんで見守る大型プロジェクトがある。火星の衛星フォボスからサンプルを持ち帰る「MMX(Mars Moons eXploration)」計画だ。火星の起源、ひいては地球に水や生命がもたらされた謎に迫るこのミッションは、JAXAの打ち上げ技術の結晶といえる。
火星圏への到達と着陸、そして再離陸。はやぶさ2で培った高度な自動ナビゲーションとサンプル回収技術を過酷な深宇宙で応用する。打ち上げロケットに課されるのは、寸分の狂いも許されない軌道投入精度だ。打ち上げウィンドウが限られる火星探査において、一瞬の猶予も残されていない。