第13話の演出面で最も際立っていたのは、鏡とガラスを使った反射の映像美である。乃木がバルカのセーフハウスで鏡に向かうシーン。通常であれば実像と鏡像は一致するはずだが、このカットにおいて乃木の首の角度と鏡の中の影には、微細なタイムラグが存在した。
さらに、かつて父ベキとの思い出の品であった「黄色いハンカチ」が、予期せぬ人物のポケットから覗いていた点も見逃せない。黄色は作品内で常に「偽りの中の真実」を告げるシグナルとして使われてきた。画面フレームの端に配置された色彩の対比は、文字通りのセリフ以上に多くの事実を物語っている。