小学校から中学まで8年間にわたりポイントガードとして司令塔を担い、東海大会出場まで上り詰めた実績は伊達ではない。広瀬すずが語る全米バスケットボール協会(NBA)の魅力は、戦術理解の深さから生まれる。彼女が注目するのは、ハイライトに映るド派手なダンクシュートだけではない。ボールを持たない局面でのオフボールスクリーン、ディフェンスのローテーションの速さ、わずか数センチのスペースをこじ開けるステップワーク——その観察眼は完全に指導者やベテランプレイヤーのそれだ。
かつてネット上で驚愕の反響を呼んだ彼女の本格プレー動画を覚えているだろうか。軽やかなクロスオーバーから放たれた滑らかなシュートフォーム、まったくブレない軸。現場スタッフによれば、撮影の合間にボールを渡された彼女は、ウォーミングアップなしでリングを射抜いたという。演出ではない。身体に染み付いた本物のバスケットボールスキルがそこにあった。
北米の現地アリーナ取材でも、その真価は遺憾なく発揮された。試合前のウォーミングアップで選手が見せるルーティンや、ベンチから飛ぶ細かなコーチングボイスにまで耳を澄ます。屈強なトップアスリートが交錯する生々しい衝撃音、コートサイドでしか感知できないシューズの軋み。彼女は独自の嗅覚で最高峰の熱狂をすくい取り、独自の言葉で咀嚼して伝えている。