市場の喧騒を抜けて海側へ歩みを進めると、潮風が吹き抜ける静かな漁師町の路地が広がっている。この地は、漫画家・青柳裕介の名作『土佐の一本釣り』の舞台となった場所として知られる。作中に描かれた主人公たちの情熱や素朴な暮らしぶりは、今も町を歩く人々の表情や古い木造家屋の佇まいに色濃く残っている。
海岸沿いに鎮座する久礼八幡宮は、古くから漁師たちが航海の安全と大漁を祈願してきた守り神だ。境内に立つと、すぐ目の前には荒波が打ち寄せる太平洋が広がり、波の重低音が社殿に響き渡る。市場での美食体験のあとにこの場所を訪れ、黒潮の恵みとそれに対峙してきた人々の歴史に思いを馳せることで、旅の奥行きは何倍にも深まる。