国民栄誉賞を巡る歴史の中で、ひときわ強い支持を集めるのが授与の打診を辞退した人物たちの存在です。これまでに正式打診あるいは事前打診の段階で辞退した主な人物と、その理由は以下の通りです。
- 福本豊氏(1983年):通算盗塁世界記録を樹立した際、中曽根康弘首相からの打診に対し「そんなんもろたら立ちションもできへんようになる」と名言を残して辞退。賞の重圧で自らの生き方が縛られることを嫌った潔さが称賛されました。
- 古橋廣之進氏(1992年):水泳界のレジェンド「フジヤマのトビウオ」として知られる古橋氏は、事前打診に対し「自分は過去の人であり、スポーツ振興は道半ば」として辞退しました(後に2008年に文化勲章を受章)。
- イチロー氏(2001年・2004年・2019年):過去3度にわたり打診を固辞。2001年のメジャー1年目や2004年の年間最多安打記録時は「現役のプレーヤーとしてモチベーションが低下する」「人生の幕引きのときにいただけるよう励みたい」と説明。引退後の2019年も「人生の幕を下ろすときに」という姿勢を貫きました。
- 大谷翔平選手(2026年):メジャーリーグで満票MVPを獲得した際、菅義偉政権下での打診に対し「まだその時期ではない。まだ早いので今回は辞退したい」と回答。自身の成長途上である認識を示し、グラウンドでの戦いに集中する意志を優先させました。
彼らに共通しているのは、「現役アスリートとしての向上心を保ちたい」「賞の権威に安住したくない」という強烈なプロ意識です。政権側の都合による打診を毅然と断る姿は、かえって世間から「本物のプロフェッショナル」として絶大な支持を集めました。