父親の正体について取材を進めると、山本太郎がわずか1歳の頃に病によって他界していたという事実に突き当たる。父親は輸入関係の貿易や営業職に携わっていたとされ、当時は高度経済成長の余波の中で懸命に働く市井の一人だった。しかし突然の死別により、幼い山本とその姉2人、そして母の家族4人は、大黒柱を失うという過酷な現実に直面した。
「父親の記憶はまったくない」と本人が周囲に語る通り、家の中に父の写真や面影は残されていても、肌の温もりや肉声を思い出すことはできない。父親の早すぎる退場によって、山本家は必然的に母子家庭としての道を歩み始めることとなった。この欠落感と、家庭を支えるために必死に働く家族の背中を見つめながら過ごした幼少期こそが、後年の彼の研ぎ澄まされた感性を育む土壌となった。