このホールの基本設計を手がけたのは、日本を代表する建築家である香山壽夫氏だ。端正な煉瓦とガラスが調和する外観の美しさもさることながら、ホール内部に足を踏み入れた瞬間に広がる温かな木質空間のスケール感には息をのむ。壁面の微妙な傾きや反響板の角度に至るまで、物理計算と職人技の結晶とも言える精緻な音響設計が張り巡らされている。
かつて市長を務めた清水聖義氏が旗振り役となって進めた文化政策の象徴として誕生した歴史を持ち、街全体で本物の芸術を育もうという意志がディテールに宿る。劇場・コンサートホール運営の観点から見ても、1,400席超の規模を保ちながら演者と観客の親密な距離感を両立させた設計は極めて稀少だ。舞台上の熱量がダイレクトに客席へなだれ込む感覚こそ、この劇場の真骨頂である。