届出自体は一枚の紙を役所に提出するだけで完了する。しかし、その後に生じる人間関係の亀裂は法書類のように容易には片付かない。日本弁護士連合会に所属する各地の法律相談窓口や、法律相談ポータルである弁護士ドットコムには、姻族関係の断絶を巡る生々しいトラブルが数多く寄せられている。
相談事例で目立つのは、役所からの通知はないものの、何らかのきっかけで義実家に届出の事実を知られたケースだ。「介護を放棄された」「恩を仇で返された」と激昂した親族から精神的な攻撃を受けたり、配偶者の遺骨の引き渡しを拒まれたりするトラブルが頻発している。法的な正当性があるとはいえ、感情の対立までを法律が未然に防いでくれるわけではない。
こうした事態を避けるため、近年は事前の法的助言や親族間トラブルの調停に特化したリーガルサービスの利用が広がっている。感情論に流されず、財産分与や納骨の問題をあらかじめ整理した上で手続きに踏み切ることが、無用な泥沼劇を避けるための必須条件となりつつある。