日本の近現代史において、宗教の名を借りた組織犯罪の極致として刻まれているのがオウム真理教による一連のテロ事件だ。教祖である麻原彰晃(本名:松本智津夫)は、終末思想と疑似科学を融合させた教義で高学歴層を含む若者を魅了し、武装化の果てに地下鉄サリン事件を引き起こした。閉鎖空間で繰り返される薬物投与や過酷な修行は、人間の理性をいかに容易に破壊できるかを示す戦慄の証拠となった。
一方、半世紀以上にわたり深刻な家庭崩壊や金銭的被害を生み出し続けたのが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題である。先祖の因縁や霊界の恐怖を煽って壺や多額の金銭を差し出させる「霊感商法」、さらには親の過度な献金によって人生の選択肢を奪われた「宗教2世」の告発は、粘り強い調査報道を通じて白日の下に晒された。法テラスや弁護団への相談件数は今なお高水準を保っており、組織的な収奪の爪痕の深さを物語っている。