紙パックの表面に書かれた「カルシウム2倍」や「すっきり濃い味」といった魅力的なフレーズ。だが、そうした言葉だけで商品を選ぶと、思わぬ落とし穴にハマる。牛乳と乳飲料の間には、成分規格における決定的な断絶があるからだ。
「牛乳」と表記できるのは、牛から搾ったままの「生乳」だけを原料とし、加熱殺菌以外の処理や水・添加物の混入を一切許されない製品に限られる。無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上という厳格な数値が求められ、自然のままの栄養が凝縮されているのが特徴だ。一方で、乳脂肪分をそのまま維持した「成分無調整牛乳」は、季節や牛の飼育環境によって成分値が微妙に変動する自然の味わいそのものである。
これに対し、「乳飲料」は生乳や乳製品をベースにしつつも、ビタミン、ミネラル、コーヒー、果汁などの乳製品以外の原材料を加えることが認められているカテゴリだ。カルシウムを大幅に強化した高栄養タイプがある一方で、乳固形分が少なくあっさりとした低価格製品まで多種多様だ。栄養価が高いから牛乳、あるいは安いから薄い乳飲料、という単純な二項対立ではない。パッケージ裏の成分表示を確認しなければ、本当の栄養価の差は見えてこない。