『やっぱり猫が好き』を語るうえで欠かせないのが、初期からメイン脚本を務めた三谷幸喜の存在です。当時まだ劇団「東京サンシャインボーイズ」を主宰する若手劇作家だった三谷氏は、本作で一躍脚光を浴びることとなりました。
視聴者の間では「出演者によるアドリブ劇」と思われがちですが、実際には極めて精巧に計算された脚本が存在していました。もちろん役者陣の機転による細かなアドリブやハプニングも巧みに取り入れられていましたが、会話の間やテンポ、伏線の回収に至るまで、三谷氏の緻密なシットコム理論が土台となっています。
後年のインタビューにおいて三谷氏自身も、恩田三姉妹の卓越した演技力とアドリブ対応力があったからこそ自身の脚本が何倍にも面白くなったと振り返っており、作り手と演者の幸福な化学反応が起こした奇跡的な作品であったことがうかがえます。