音楽のみならず、俳優としてのGACKTの足跡にも、少年時代に培われた特異な死生観が色濃く反映されている。自ら原案・脚本を手掛け、HYDEと共演を果たした2003年の映画『MOON CHILD』はその最たる例だ。近未来のアジアの架空都市を舞台に、永遠の命を持つ吸血鬼と過酷な運命に翻弄される人間たちの生と死を描いたこの作品は、彼が幼少期から向き合い続けてきた「生命の儚さと孤独」というテーマの結晶といえる。
一方で、近年の代表作となった『翔んで埼玉』シリーズでは、一転して徹底したコメディと美意識を融合させた麻実麗役を怪演。不条理な設定すらも気品と説得力でねじ伏せる圧倒的なオーラを発揮した。幼少期に「生き延びるために正常を演じ切った」という極限の経験は、スクリーンの中でフィクションを現実以上のリアリティへと昇華させる俳優・GACKTの武器となっている。