ささみ料理のクオリティを左右する最大の要素は、加熱前の下処理にあります。ささみは脂肪分が極めて少ないため、そのまま強火で加熱すると水分が急速に失われ、繊維が収縮してパサつきの原因になります。
最初に行うべきは筋取りです。ささみの端から出ている白い筋をキッチンペーパーでしっかりつまみ、フォークの爪の間に筋を挟んで肉を押し出すように引くと、身を崩さず綺麗に取り除けます。包丁を使う場合は、筋を下にして身を削ぎ落とすように刃を滑らせると無駄がありません。
続いて重要なのが観音開きの切り方です。肉の中央に縦に一本浅く切り込みを入れ、そこから左右に向かって包丁を寝かせながら開き、厚みを均一に整えます。厚みが揃うことで火の通りが一定になり、生焼けや加熱しすぎによる硬化を防ぐことができます。
開いたささみ全体をフォークで軽く刺し、酒・マヨネーズ・ひとつまみの砂糖をもみ込んで10分ほど置くのが最大の秘訣です。マヨネーズに含まれる乳化された植物油とお酢が肉のタンパク質を柔らかく保ち、仕上げに片栗粉を薄くまぶすことで肉汁を逃さない保水膜が形成されます。