番台越しに見渡す浴室は、どこか懐かしく、そして新しい。天井から差し込む柔らかい光、色鮮やかな壁画、そしてカランから威勢よく出るお湯の音。昭和期に建てられた銭湯建築のレトロな風情をそのまま残しつつも、近年の改修で導入された最新型の水風呂やオートロウリュ付きサウナが見事に融合している。
単なる「懐古趣味」では終わらない。サウナで極限まで温まった体を冷水で締め、その後に温泉の滑らかな湯に身をゆだねる——この独自の「温冷交互浴スタイル」がSNS世代の心をつかんだ。「一度この温冷ループを味わうと、他の銭湯には戻れない」と語るのは、都内から足繁く通う30代のITエンジニアだ。歴史の重みを感じさせる柱やタイルと、極上のととのいスペース。相反するエレメントが融合した空間設計が、新たな快感を生み出している。