写真が存在しないとなると、江戸時代末期に描かれた肖像画の有無が気になるところですが、岡田以蔵の同時代に描かれた肉筆肖像画も確認されていません。現代の歴史ファンが目にする以蔵の姿は、明治以降に描かれた挿絵や、近年のゲーム・漫画・アニメで描かれたイラストレーションに基づいています。
では、同時代の証言や史料は以蔵の容貌や体格をどのように伝えているのでしょうか。土佐勤王党関係の手記や当時の尋問記録などを総合すると、以蔵に関する記述は以下のような特徴を持っています。
剣術の腕前に関しては、鏡心明智流の達人として知られ、麻布の士学館(桃井春蔵の道場)で免許を皆伝されるほどの実力を誇っていました。体躯は引き締まり、無口で人を寄せ付けない独特の気迫を放っていたと伝えられています。後世の創作で描かれがちな「粗暴な狂犬」という一面だけでなく、剣の道に対して極めてストイックな青年剣士であった側面が浮かび上がってきます。