歴史的建造物の維持管理や後継者不足が深刻化する中、宗教法人・文化財保護産業は今、大きな転換期を迎えている。長年にわたり一般の立ち入りを厳格に禁じてきた奥宮や本殿奥の禁足地を、保存修復費用の確保を目的として期間限定で特別公開する試みが各地で始まっている。これは単なる観光振興ではない。数百年単位で受け継がれてきた木造建築や国宝級の宝物を、次世代へ確実に引き継ぐための苦渋の決断であり、攻めの保存戦略なのだ。
文化庁による修復技術のデジタルアーカイブ化や、全国約8万社を包括する神社本庁による次世代の神職育成プログラムなど、伝統を守るための多角的なアプローチが急速に進んでいる。聖域の神聖さを保ちながら、いかにして現代社会にその価値を開いていくか。関係者たちの模索は、日本文化の存亡を賭けた静かな闘いでもある。