日本映画史に鮮烈な記憶を刻んだ映画『桐島、部活やめるってよ』。名匠・吉田大八監督がメガホンをとったこの群像劇で、彼女が演じたバドミントン部員・宮部実果の姿を覚えている人は多いはずだ。スクールカーストの狭間で揺れる少女の苛立ち、複雑な家庭環境からくる諦念、そして言葉にならない鬱屈。どこにでもいそうで、どこにも逃げ場のないリアルな高校生の肖像を、当時まだ十代だった彼女は完璧に体現してみせた。
あの鮮烈なデビューから年月を経て、日本映画界における彼女の立ち位置は唯一無二のものへと成熟した。若手時代特有の危うい輝きは、緻密な計算と研ぎ澄まされた直観に裏打ちされた「本物の演技力」へと昇華されている。吉田大八監督が最初に見出した原石の鋭さは失われるどころか、年輪を重ねるごとに凄みを増している。