革、ガラス、金属プレス、紙製品。墨田や台東は、かつて日本の近代化を支えた町工場の密集地帯だ。高度経済成長期を経て衰退の危機に瀕したこの地域文化が今、鮮やかなリブランディングを遂げている。熟練のクラフトマンシップに魅せられた若手クリエイターが次々とアトリエを構え、伝統工芸と現代デザインが融合したプロダクトを世界へと発信し始めた。
町工場のシャッターを開け放ち、オープンファクトリーとして一般に公開するイベントには数万人が詰めかける。機械油の匂いが立ち込める作業場で、70代のベテラン職人と20代のプロダクトデザイナーが肩を並べて試作を重ねる光景は、もはや日常だ。下町の長屋をリノベーションした複合拠点では、1階にクラフト工房、2階にコワーキングスペースが入居する。古びたネジ一本に宿るクラフトマンシップが、新しい世代の手によって高付加価値なグローバルプロダクトへと昇華されている。