「そもそも日本のハロウィンはいつから始まったのか」という問いに対し、社会風俗史を紐解くと3つの明確な転換点が存在します。最初の種が蒔かれたのは1970年代から1980年代初頭のことでした。玩具・キャラクターグッズの老舗である原宿の「キデイランド」が、関連商品の販売促進を目的に1983年に開催した「ハローハロウィーンパンプキンパレード」が、日本国内で一般参加者を募った最古のパレードと記録されています。当時はまだ一部の外国人居住者や流行に敏感な原宿カルチャー愛好者による限定的な試みでした。
社会現象としての導火線に火がついたのは、それから10数年後の1997年です。この年、現在のハロウィン文化の二大源流となる出来事が期せずして同時に発生しました。ひとつは、神奈川県川崎市で始まった「カワサキハロウィン」。シネチッタをはじめとする地元商業施設が映画ファンや若者を巻き込み、本格的な仮装パレードを街頭で展開しました。そしてもうひとつが、東京ディズニーランド(TDL)で開催された初の特別イベント「ディズニー・ハッピー・ハロウィーン」です。
当時のオリエンタルランド関係者が情報番組の取材で語った記録によると、「秋の閑散期(9月〜10月)をいかに埋めるかという営業戦略上の課題から生まれた企画だった」と明かされています。TDLがオレンジと紫の装飾で園内を彩り、来園者の仮装入園を一部解禁したことで、「ハロウィン=カボチャとお化けの楽しいお祭り」という記号が全国の子どもから大人へ一気に刷り込まれました。その後、2000年代に入るとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の「ハロウィーン・ホラー・ナイト」が大ヒットを記録。テーマパーク発のエンターテインメントが、日本型ハロウィンの基盤を盤石なものにしたのです。