感覚的な体験談にとどまらず、温熱療法や温浴効果に関する学術的な知見も整理しておきたい。日本温泉気候物理医学会をはじめとする専門機関の研究によると、塩分を含んだ温湯での入浴は、通常のさら湯(水道水)に比べて保温効果が極めて高いことが実証されている。
皮膚の表面に食塩が皮脂膜と結合して膜を形成し、湯冷めを防ぐとともに末梢血管を拡張させる。この強力な温熱刺激は自律神経にダイレクトに作用する。緊張を司る交感神経から、リラックスを司る副交感神経へスイッチが強引に切り替わる際、急激な自律神経の落差が生じる。これが「激しい眠気」や「脱力感」として知覚されるのだ。つまり、好転反応と呼ばれるものの多くは、自律神経系が自己防衛と修復のために見せる過敏なリアクションと言える。