彼女の名を決定づけた金字塔と言えるのが、河瀬直美監督が手がけた重厚なヒューマンドラマ映画『朝が来る』だ。実の親になれなかった夫婦と、望まぬ妊娠によって我が子を手放すことになった14歳の少女。その双方の苦悩を描いた本作で、彼女は幼さと母性の間で揺れ動く中学生・片倉ひかり役を演じた。
どん底の孤独の中で葛藤する少女の哀しみ、擦り切れた心の叫びを、削ぎ落とされた表情と震える声で見事に表現。その圧巻の芝居は高く評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめとする数々の映画賞を総なめにした。賞賛の嵐は単なる話題作りではなく、彼女が示した本物の演技力に対する、日本映画界からの当然の敬意であった。