周囲に冷やかされたくない、職場や学校で悪目立ちしたくない。そうした心理が、デザインの潮流を根底から塗り替えた。現在トレンドの主軸となっているのは、一見すると単独のグラフィックとして成立している「カモフラージュ型」のアートワークだ。
左右に分割された対の構図でありながら、片側だけを見ればモダンなミニマリズム絵画にしか見えないデザイン。色彩のトーンだけを揃えた抽象パターン。こうした洗練されたペア・カップルイラストは、SNSでのオープンな関係誇示に疲れた若年層にとって、絶妙な心地よさを提供している。壁紙・ロック画面アートの領域では、露骨さを排した「自分たちだけにしか分からない暗号」を埋め込む手法がひとつのステータスとなった。