アクション映画の世界では、股間への一撃が痛快なカタルシスを生み出す定番の演出として愛されてきた。不世出の武道家ブルース・リーは、名作映画『燃えよドラゴン』をはじめとする作品群で、截拳道(ジークンドー)の思想に基づいた最短軌道の急所蹴りを披露し、世界中のファンを熱狂させた。
その系譜は現代のシネマティック・アクションにも色濃く受け継がれている。NetflixやU-NEXTなどの配信プラットフォームで世界的大ヒットを記録しているキアヌ・リーブス主演の映画『ジョン・ウィック』シリーズでは、柔術とガンアクションを融合させた「ガン・フー」の中で、近接戦の崩し技として的確に股間を狙うシーンが描かれる。
映画の主人公たちは卓越した間合いのコントロールと精密な打撃技術を持っているからこそ、急所攻撃を華麗に成立させる。しかし、観客がそのアクションの爽快感をそのまま「現実の自衛策」と混同してしまうことには、専門家からも懸念の声が上がっている。