近年のテレビ史を振り返るとき、特定の女優たちが築き上げた金字塔の凄みに直面せざるを得ない。その代表格が、米倉涼子が主演を務め長年にわたり社会現象を巻き起こした『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』だ。群れを嫌い、権威を嫌い、専門医のライセンスと叩き叩き叩き上げたスキルだけを武器に戦う孤高の天才外科医。一見すると痛快なエンターテインメントだが、その撮影現場は常にミリ単位の緊張感に包まれていたという。オペシーンの手さばきから一歩も引かない立ち振る舞いまで、米倉が払った妥協なき努力が作品の命脈を保ち続けた。
一方で、密室の心理戦という極限のドラマを確立したのが、天海祐希が主演を張る『緊急取調室』だ。被疑者と取調官の間に漂う張りつめた空気、沈黙の数秒間に込められた感情の交錯。天海は現場で座長としてスタッフやキャストを力強く鼓舞しながら、カメラが回れば一転して人間の業を暴く冷徹かつ温かい眼差しを見せた。テレビ画面越しに漂うその迫真の演技は、視聴者の心を掴んで離さない。