クレーターの中心で胎児のように丸まって倒れるポーズ。実はこの構図、演出論の観点からも極めて異質な計算の上に成り立っている。通常の戦闘漫画であれば、敵の強力な攻撃を受けて派手に吹き飛ぶか、血を流して仰向けに倒れる描写が定番だった。しかし、あの戦闘で提示されたのは「白熱したバトルの瞬絶」という静寂である。
煙が晴れたあとに残された、丸まった無言の背中。爆風によって穿たれた円形の窪みと、その中心に収まる人型の対比が、見る者に「取り返しのつかない悲劇」を視覚的に叩き込む。逃げ場のない圧倒的な死の冷たさを、削ぎ落とされた線と圧倒的な白黒のコントラストで描き切った天才的な演出美が、あの1コマには凝縮されていた。